2025年度入学式
2025 年度(令和 7 年度)学部入学式 学長訓示
新入生のみなさん、ようこそ、広島市立大学へ。
ご入学おめでとうございます。
これまで皆さんを支えてこられたご家族をはじめ、関係者のみなさまに、心よりお慶び申し上げます。
本日、みなさんをお迎えし、松井広島市長をはじめ来賓の方々にご臨席賜り、入学式を挙行できることを大変嬉しく思います。
さて、広島市立大学は、「科学と芸術を軸に 世界平和と地域に貢献する 国際的な大学」を建学の基本理念に掲げて、1994 年(平成 6 年)に広島市が設置した公立大学です。今年は開学から32年目になります。まだまだ若い大学ですが、既に本学の卒業生や教育研究者が様々な分野で活躍しており、本学にとって大きな誇りであり、励みです。新入生のみなさんにも先輩の活躍を知ってもらいたいと思います。
ここから、広島市立大学の歩みをお話します。
私は開学の年に広島市立大学の情報処理センター、情報科学部の助手として着任しました。
インターネットなどの情報通信、IT(Information Technology)が専門分野ですので、その立場で広島市立大学が今のデジタル社会に向けて、この広島地域でどのようなことをしてきたかについてご紹介します。
広島市立大学が開学した1994年はインターネット黎明期と言われる時代で、みなさんの多くは生まれていません。
各家庭にインターネットはなく、スマホもWi-Fiもありません。「ネットがない」ことが日常でした。
開学の年に「第12回アジア競技大会広島1994」が開催されました。そこで、広島市立大学は世界に先駆けて日本語と英語で競技結果を速報するホームページを開設しました。
また、大会期間中、デジタル美術館を開設し、芸術学部の教員の作品を鑑賞できるようにしました。
インターネットによる発信はアジア諸国だけでなく、世界中から大きな反響がありました。
その後、デジタル美術館は、当時最先端のVR技術を使った、アバタでめぐる仮想美術館へと進化しました。
翌年1995年は被爆50周年にあたる年で、広島地域の大学や企業とともにプロジェクトを組み、平和記念式典の映像と5か国語の音声をインターネットで世界に向けてライブ配信しました。中国放送様、NTT広島支店様にはコンテンツの提供や支援で多大なご協力をいただきました。
このライブ配信に広島市立大学が参画できたことは誇りであり、意義深いことでした。
その後、小学校や中学校をインターネット接続し、教育に活用する国のプロジェクトにおいて、中国・四国地域10数校の接続拠点にもなりました。
2000年頃には広島市内の小学校、中学校、高等学校で遠隔授業、遠隔合唱を実施しました。
遠隔授業は、コロナ禍以来普及しましたが、ずっと前に広島で遠隔授業をしていたのです。
このように、広島市立大学はこの地域のインターネットの普及と利活用に取り組み、デジタル化社会を先取りしてきました。
ここでお伝えしたいことは、広島市立大学に国際学部、情報科学部、芸術学部の研究、創作活動があったからこそ、このような活動ができたということです。
平和学研究科が設置され、3学部4研究科のユニークな組み合わせで教育、研究活動を推進しています。
地域の大学、企業、自治体とともに教育・研究を進めてきたことで、現在の広島市立大学へと成長することができました。
この広島市立大学に、本日みなさんも一員として加わりました。
それぞれの学部でしっかり学び、その領域なら誰にも負けない自分の強みを作ってください。
地域課題や環境問題など、ひとつの学問領域だけでは解決できない問題が多々ありますが、広島市立大学の3学部、4研究科がそれぞれの強みをもちより、学部横断で解決していけます。
大学は自らが能動的に学ぶ場です。検索サイトやAIですぐに答えを求めたくなりがちですが、大学ではじっくり考え、取り組んでください。
大学時代にしてほしいことがあります。
今この時しかできないことを経験してほしいということです。
今年は被爆80周年で、広島にとっては大きな節目の年です。
広島の80年の復興に思いを寄せ、様々な80周年事業に関心をもってください。
大阪・関西万博が開催される年でもあります。
万博には地球規模のさまざまな課題に取り組むため、世界中の英知が集まります。
情報科学研究科の教員が技術協力したものも出展されます。
未来の社会、技術がどんなものになるのかを目の当たりにすることで、強みづくりのヒントが得られるかもしれません。
可能なら足を運んで、未来体験をしてきてください。
繰り返しになりますが、みなさんには、「これまでの広島市立大学の歩み、卒業生の活躍を知って、自分の学部の専門の学びを通して、自分の強みを作り、社会で貢献できる人材になること」、「今、この時にしかできないことに関心をもち、経験すること」を願っています。
新しく始まる皆さんの大学生活が充実したものになること、そして、皆さんが広島市立大学で学んで良かったと思う日が来ることを祈念して、結びといたします。
2025年(令和7年)4月2日
公立大学法人広島市立大学
理事長・学長 前田香織

