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岩瀬 大祐さん

「この人と話したい」は、活躍している学生・卒業生・教職員から、学長が話を聞いてみたい人を学長室にお招きし対談する企画です。
今回は、本企画の第4弾として、学生による新事業のビジネスコンテスト「第13回キャンパスベンチャーグランプリ中国大会(主催:日刊工業新聞社)」で、「テクノロジー部門最優秀賞(中国経済連合会会長賞)」を受賞した情報科学研究科(博士前期課程)システム工学専攻2年(受賞時)の岩瀬大佑さんにお話を伺いました。また、今回は岩瀬さんの指導教員でもある石光俊介教授にもお越しいただきました。
対談の前に、受賞したビジネスプラン「テーマ:聴覚障がい者を対象とした音声情報の振動呈示装置~2つめの新たな聴覚をあなたに~」についてプレゼンテーションを行っていただきました。

青木 プレゼンテーションをありがとうございました。なかなか良いところに目を付けたんですね。要するに、聴覚障害のある人は自分の声をモニターできない、自分の声が大きいのか小さいのかを自分の耳で判断できないから、声量インディケーターみたいな物を見て自分の声の大きさを調節できるという仕組みなんですね。

岩瀬 はい、それを手元に置いたり手に持ったりして話します。

青木 おもしろいですね。私は学部でコミュニケーションの科目を担当していたんですけど、過去に指導した卒論で一つあったのが、同じ内容の事を音声だけ録音して人が聞いた時と、顔だけ映して話してる映像を見た時と、体全体を映して話してる映像を見た時と、その3つでどれくらい話の理解力が違うかっていう実験をしたんですね。結果、いちばん理解力があったのは体全体が映っていたものだったんですよ。手振り身振りまで映っているから、そのおかげで話の切れ目もとらえやすい。だから、さっきプレゼンの中で言われたように、これまでのインディケーターでは、対話の相手を見れないので、それがコミュニケーションに大きなハンディとなっていたんですね。相手を見れるか見れないかで、得られる情報量に大きな差があるというのが、今のプレゼンでよく分かりました。目の付け所が非常にいいなと思って。それから、将来的にビジネス展開するプランもあって、素晴らしいです。実は以前、音読マスクっていうのを作りたいと思ったことがあるんです。音読は外国語学習では定番の学習方法で、自分で声に出して、それが自分の耳に返ってくることによって、その表現が定着して上達するんですね。ところが音読のネックは、人前ではやりにくいということ。人前では恥ずかしいし邪魔にもなるし、かといって家の中でもあんまり大きな声を出してはやらない。だから、骨伝導みたいな仕組みで、音読してもほとんど声を外には出さないけど自分の耳に返ってくるようなものがあれば、電車の中でもできるぞ、なんて思っていたんですけど。

石光 確かにそうですよね。電車の中でよく本を読んでいる人がいますけど、小さな声で出してフィードバックできたら覚えられますよね。ささやき声を増幅して音声に加工するのは、彼が今やっているのと同じ技術なんですよ。

岩瀬 おもしろそうですね。

青木 おもしろいだろうと思います。石光先生たちが研究で扱っている音っていうのは、たとえば医療の分野なんかでもいろんな活用の仕方が考えられていますけど、私の分野だったら外国語学習に使いたいと思いました。すみません、余談です。でも、ベンチャーといってもなかなか難しいとは思うんですけど、岩瀬さんはこの他にも開発したものがあるんですか。

岩瀬 他にももちろんやっていくんですけど、しばらく何年かはこれに…。

石光 彼はほんと幅広くやっていて、ネイルサロンもやっていますし、あと飲み屋も経営してるし。

青木 自分でやってるんですか?

岩瀬 ビジネスパートナーと一緒に共同経営しています。

石光 すごく行動力があるんです。

岩瀬 店長を雇って、場所を用意して。

青木 そうなんですか。おもしろいですね。店長なんですね。

岩瀬 オーナー…、出資者になるのかな?よくわからないんですけど。内装とかも自分たちでやりました。

青木 岩瀬さんは、今までにあまりいないタイプの学生ですよね。ビジネス力まで備えて。飲み屋はどういう飲み屋なんですか。

岩瀬 飲み屋はバーです。ちっちゃいバーで。

青木 今、大学院の2年生で、卒業した後はどうするんですか。

岩瀬 卒業後は法人を設立して、この技術のベンチャーに集中しようと思っています。

石光 就職は、自分の会社を設立してそこに就職する、ということですよね。

青木 博士後期課程には進まないんですか。

岩瀬 ドクターは、このベンチャーが落ち着いたらとは考えています。せっかくなので、博士号も取りたいです。

青木 そうですね。私としてもぜひ取ってほしいですね。研究を、研究のための研究で終わらせずに、アクティブに企業とつなげていって研究成果を活用してもらえるような活動をすでにされているので、本当にいい見本ですよね。

岩瀬 サウンドデザイン研究室のような、研究から実用化まで行う研究室は、なかなかないんです。

青木 そう、ないですね。私自身も、数少ない経験ながら英語のe-learning講座をやっていますけど、研究と実用化の間には非常に深い谷がありますよね。企業に任せたらできるっていうものではなくて、研究している人も一緒に汗をかくくらいの気概がないと、乗り越えられない谷があるじゃないですか。「原理的にはこうできますよ」で終わるのではだめ。大手の企業だったらともかく、ある程度の中小企業が相手だったら、研究する側も相当努力して一緒にやるくらいじゃないと、なかなかその谷は乗り越えられませんよね。その点で岩瀬さんは楽しみですね。

石光 今いろいろと要請を受けているんですけど、それを全部彼に頼もうかなと思ってるくらいです。例えば、共同研究の補聴器を生産した会社の社長が亡くなられて解散してしまって、代わりに作ってくれる会社を探してくれって利用者から私に要請が来たんです。それをこのあいだ彼にお願いしたんですよ。

岩瀬 何でもやっていきたいんで。

青木 それは素晴らしいですね。何でも自分でやれるという実感を持ってやっているのが素晴らしい。アメリカの学生が自分で技術を持って起業するというのはよく聞きますけど、日本の学生ではあまり聞かないですよね。全国大会に行った後、ぜひまた話を聞かせてください。

※岩瀬さんは、情報科学部システム工学科4年(受賞時)の室瀬一眞さんとともに、対談後に開催された「第11回キャンパスベンチャーグランプリ全国大会」で、「日刊工業新聞社賞」を受賞されました。

キャンパスベンチャーグランプリのウェブサイトはこちら

 

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