国際交流・留学 International exchange and study abroad

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派遣留学の体験記 (コスタリカ・国連平和大学)

国際学部 国際学科4年  浦井 ひよりさん

 コスタリカ・国連平和大学
[2022年8月 ‐2022年9月]

● 本プログラムの特徴とアピールポイント
 国連平和大学は軍隊を持たない国・コスタリカに国連が設立した大学院大学です。国際平和学・国際法・環境開発の3研究科に8つの修士課程があります。私が参加した「平和学基礎コース」はすべての修士課程において一番初めに開講される必修科目です。コースの最大の特徴は平和構築に関係する幅広い分野の基礎知識をオムニバス形式で学べることにあります。紛争解決、開発、国際法、人権、ジェンダー、メディア、環境、食料安全保障といったトピックが日替わりで扱われ、各授業の前半は各分野を専門にする教授が講義を行い、後半は20人ほどのクラスに分かれてディスカッションやプレゼンを行いました。事前課題の文献を読んだり授業の内容を理解したりするためには英語力だけでなく集中力も必要で毎日大変でしたが、どの授業も面白く、最後までモチベーションを失わずにやり切ることができました。
 もう1つの特徴は世界の多種多様な人たちと出会えることです。「平和学基礎コース」は全課程共通の科目であるため、120人前後の学生と共に学びます。国籍も40~50ヵ国に及び、大学卒業後すぐに入学した人もいれば、民間企業、政府機関、国連機関、NGOといったフィールドで職務経験を積んでから入学した人もいます。20代後半~30代前半の人が多い印象でしたが、上は50代から下は20代前半まで年齢層も幅広かったです。これほどバックグラウンドが豊かだと当然考えや行動も一人ひとり異なるので、意見が合わなかったり誰かの行動が理解できなかったりすることもありました。そういった価値観の違いも受け止めつつ、多様性豊かな人たちとフラットな関係で交流できたのは貴重な経験だったと思います。


〈キャンパス内の広大な芝生に並ぶ国旗やモニュメント〉


〈自由に落書きできる校舎内の壁〉


● プログラムを振り返って、得られたものと今後の目標は何ですか?
 このプログラムで私は自分の意志の弱さを改めて実感しました。クラスであるトピックについてディスカッションをした際に、私は賛成か反対かどちらでもないか、何も考えが浮かばす、そのうち話し合いにもついていけなくなりました。3週間のプログラムのうちにこの状況を打開したいと思っていましたが、結局少しも改善できませんでした。その要因は英語力や知識が足りなかったこと、期間が短かったこと、いろいろありますが、一番は自分の意志が弱かったことだと考えます。自分なりの意見を持つことが苦手、やらなければならないことは後回し、といった普段の意志の弱さがクラスでの失敗やそれを改善できなかったことに繋がったのではないかと思います。
 大学で出会った、社会人経験のある日本人の方の話で「世界で働くには意志の強さが大事」という言葉を思い出します。世界のどこかで苦しんでいる人の力になりたいという思い、日本というコンフォートゾーンを抜け出す覚悟、今の自分を変えたいという気持ち、すべて含めて強い意志がなければ達成できません。その方の話を聞いて、私は英語や知識のレベルはおろか、世界で働きたいという意志まで中途半端なものだったかもしれないと気づかされました。ただ、自分に意志の強さが全く見られなかったわけではありません。見知らぬ土地に1人で行って挑戦的な場所に身を置こうと決断し、それを無事にやり遂げたことは、強い意志を持って頑張ったことだと胸を張って言えます。
 今後の課題は挑戦する一歩を踏み出したあと、そこからどれだけ自分自身を成長させられるかです。卒業後は大学で学んだことや海外とはほぼ無関係の仕事に就くのですが、英語や平和構築関係の勉強は続けていきたいです。これから先、世界に出て働きたい、もしくは学びたいと思った時にすぐ行動できるようにするためです。継続にも強い意志が必要であるため、英語力等とともに自分の意志を高めていきたいです。


〈講義の様子〉


〈クラスのみんなと〉


● これから本プログラムに参加を希望する後輩へのアドバイスやメッセージ
 コスタリカに限ったことではありませんが、メジャーでない国に行ってみるのは非常にいい経験になると思います。渡航前、周りの人たちにコスタリカに行くことを話しましたが、ほぼ必ず「コスタリカってどこ?なんでそんなところに行くの?」と聞かれました。正直なところ、私もコスタリカについてよく知りませんでした。そのため不安もありましたが、実際に現地で生活しながらコスタリカを知っていこう、帰国後はその経験を話して多くの人にコスタリカを知ってもらおう、というつもりで渡航しました。
 帰国後、「なかなか行けない場所に大学生のうちに行けてよかったね」と何人もの大人に言われ、改めてコスタリカに行ってよかった、国連平和大学で学んでよかったと実感しました。社会人になって働き始めれば日本から遠く離れた国やメジャーでない国に行く機会は今より圧倒的に減ると思いますし、このプログラムを通じてコスタリカを知ることがなければ、今後コスタリカに行こうと思うことはなかったかもしれません。仮に行けたとしても、観光で国連平和大学を訪れることはおそらくないでしょう。それほど私にとってこのプログラムは有意義で貴重な経験でしたし、皆さんにとってもきっといい経験になると思います。
 もし少しでもプログラムに興味があれば、国際交流推進センターへ相談しに行ったり、応募書類を書いてみたりしてください。どんなに小さな行動でもやってみることから自分の成長は始まると思います。今しかないチャンスを大事にしてください!


〈大学の食堂のランチ〉


〈サッカーのワールドカップ観戦。在コスタリカ日本大使(一番左)にお会いしました。〉


● 最後に
 コスタリカでの生活は楽しかったことも辛かったこともすべて含めて非常に充実していました。
 授業が始まる10日前に1人でコスタリカに入国してホームステイをしていたのですが、ホストマザーはスペイン語話者だった一方で私はスペイン語を勉強したことすらなかったため、会話することが多くありませんでした。ホームステイ先にはホストマザーが一人暮らしで、フラットメイトも滞在後半まで来なかったため最初はずっと孤独を感じていました。
 しかし大学に行き始めて友達ができると、それまでの生活とは大きく変わりました。サッカーのU-20女子ワールドカップを観戦して日本を応援したり、有名な自然保護区でエコツアーに参加したり、国立劇場でミュージカルを鑑賞したり…。どれも普段はできない経験やコスタリカでしかできない経験ばかりでした。
 最初はうまくやっていけるか不安だったホームステイも結果的にはいい思い出になりました。ホストマザーは私を家族のように接してくれて、親戚の誕生日パーティーにも呼んでくれました。また、覚えたてのスペイン語のフレーズでホストマザーに話しかけると、思ったより通じた上に喜んでくれたのでスペイン語を話すことが楽しくなりました。
 今回私はコスタリカとスペイン語に関する予備知識がほとんどないまま渡航したため、毎日が新しい発見と学びの連続でした。もちろんコスタリカに関してよく知っていればより多くの場所に行けたかもしれませんし、スペイン語を勉強していれば現地の人とたくさん会話できたかもしれません。しかし予備知識がないからこその新鮮な体験がたくさんできたので、これはこれでよかったと思っています。


〈ホストマザーと〉


〈フラットメイト達と〉


〈自然保護区内のHummingbird Gardenで見たハチドリ〉


【関連リンク】


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